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2015年10月10日 震災から復旧 米沢高等工業学校本館

【ナレッジ】 ガラスはなぜ王水にとけないの?

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説明
ガラスはなぜ王水にとけないの?

ヒントは酸化反応と溶解度という二つが関係しているって言うこと。

金属のAuは水にはそのままでは溶解しない。酸化数が0では水に対する溶解度が小さすぎて溶けてくれないんだよ。水に溶けるには、イオンになる必要がある。イオンになるためにはAuが酸化してAu3+というように+3価の酸化数にする必要があるんだ(Auの場合はね)。Auには+1という酸化数の状態もあるけど、これは不安定で+3価のほうが安定なんだ。王水の特徴は、このようにAuでも酸化してしまうほどに酸化力が高いということで、硝酸を使っているというのがこの酸化力の基本となっていて、さらに塩化物イオンCl-もあるっていうことがミソなんだな。

イーターネットで『王水』を検索してみると(Google使いました)…

http://www.kagakukan.sendai-c.ed.jp/yakuhin/kai/033.htm

こりゃ役にたたんわ。でも、組成は出ているよね?これが一つ参考に
なるね。

http://www.snet.ne.jp/milk32/ohsui.html

これはヒントが出ているね。

http://www4.justnet.ne.jp/~barkhorn/home0.htm

これには金や白金が溶ける理由がちゃんと出ているね。このページがいいんじゃないかな。先生向けの実験虎の巻みたいで、舞台裏が種明かしされていて、楽しめるんじゃないかな?

HNO3 + 3HCl → Cl2 + NOCl + 2H2O

塩化ニトロシル(NOCl)と塩素(Cl2)ができるんだ。これの酸化力がものすごく高いんだな。で、AuやPtを酸化して[AuCl4]-や[PtCl4]-という錯体といわれる化合物イオンになってしまう。この錯体がミソで、Cl-イオンがないとこの錯体はできないんだ。だから塩酸なんかからのCl-イオンが必要なんだね。[AuCl4]-なんかができるときは、金属としてのAu(0)が酸化してAu(III)として3価になるんだ。周りに水しかいないときにはAu3+になるんだけど、この酸化反応は簡単じゃない。でも、Cl-イオンがいると、水の代わりにCl-がAu(III)にくっついてしまい、[AuCl4]-として安定化されちゃうので、Auは比較的簡単にイオンになるんだ。こうしてイオンになれば、溶解しやすいんだね。

このあたりのことは、酸化還元電位を見るとわかってもらえるかもしれない。この酸化還元電位ってのは、イオン化傾向を数字で表現したものと思ってもらっていいもので、正の数字が大きいものほどイオン化されにくい(酸化されにくい)ってことで、逆にイオンが還元しやすく、相手を酸化する能力が高いということなんだ。NOClの反応に関するものはデータがないのだけど、AuやCl2やNO3-なんかはデータがあるから、以下に示しておくね。

http://syllabus-pub.yz.yamagata-u.ac.jp/Electrochem/Species.asp?DSN=ElectroChem&nSpeciesID=28
http://syllabus-pub.yz.yamagata-u.ac.jp/Electrochem/Species.asp?DSN=ElectroChem&nSpeciesID=249

を参考にしてね。

[PtCl6]4- + 2e ⇔ 2Cl- + [PtCl4]2- Eo=0.726 V
[PtCl4]2- + 2e ⇔ 4Cl- + Pt Eo=0.758 V
[IrCl6](3-) + 3e ⇔ 6Cl- + Ir Eo=0.86 V
[AuCl4](-) + 3e ⇔ 4Cl- + Au Eo=1.002 V
[AuCl2](-) + e ⇔ 2Cl- + Au Eo=1.154  

Cl2(g) + 2e ⇔ 2Cl- Eo=1.3583 V
Cl2(aq) + 2e ⇔ 2Cl- Eo=1.396 V

2NO3- + 4H+ + 2e ⇔ N2O4(g) + 2H2O Eo=0.803 V
NO3- + 2H+ + 2e ⇔ NO2- + H2O Eo=0.835 V
NO3- + 3H+ + 2e ⇔ HNO2(aq) + H2O Eo=0.94 V
NO3- + 4H+ + 3e ⇔ NO(g) + 2H2O Eo=0.957 V

じゃぁ、なぜビーカーは溶けないんだろう?ビーカーの材質はSiO2という酸化物を基本としたガラスです。SiO2のSiは既に+4価まで酸化されていて、これ以上酸化するにはもっと凄い酸化力が必要になるんだ。だから、これ以上は実質的には酸化してくれない。しかも、SiO2は簡単には結合が切れにくいから解離してイオンになりにくい。だから水に対する溶解度はとても小さいんだよ。これは酸に対しても同様で、少しは溶解するんだけど、溶解度が小さいから溶ける量なんて無視できるほど小さいんだな。
溶ける速さという問題もあるんだけど、実験中には溶けている量なんて無視できるほど小さいってことなんだな。どちらかといえば、SiO2は強アルカリに溶けやすいんだよ。でも、実験している間くらいの時間では、溶解していく速さが無視できるほど遅いから、実験に使用しても変化が無いように見えるだけなんだよ。